幻想華街
「幻想華街」から◆不良青年が離界。 (01/23-22:42:24)
◆不良青年>【ふと、誰か女の声がした。知っているような、知らないような。恐る恐る振り返ると、ビルとビルの間にある細い路地の暗がりの中、ぼんやりと浮かび上がる黒い影法師のような、半透明の奇妙が何かがそこに居た。それは、手招くだけで、近づいてくることは無い。俺は一歩後退り言う。】 …ねぇよ。お前に願うことなんて、何もねぇ。 【その答えを聞くと、奇妙な影はスーッと闇に溶けて消えた。あの夜の恐怖はまだ深く刻まれたままで、震えそうになる足を無理矢理動かして、寮へと逃げ帰る。出来るだけ、人通りの多い、明るい場所を通って。 寮に戻るまで、そして戻ってからも、あの声が聞こえることは無かった。 …けど、俺は思う。また、俺が弱気になったり、何かに縋りたくなった時、アレは俺の前に現れるんだ。俺が真っ当に、胸張って兄ちゃんに顔向けできるように生きなければ、きっと――】 (01/23-22:40:45)
◆不良青年>『 ――願いごとはない? 』 (01/23-22:34:16)
◆不良青年>【どれくらいの時間が過ぎたか、時々通り過ぎていく他人の視線を背中に感じながら、兄ちゃんの事を思い出して暫く黙祷を続けた。】【冬の空は、日が傾くと沈むまでは早く、夕日はビルの狭間に消えて、目を開ければ辺りは完全に夜になっていた。】 ……そろそろ帰んねぇと、アイツらにまたどやされんな。…ったく、門限守る不良って、不良なんかなぁ…? 【立ち上がり、携帯電話を確認するとディスプレイには友人からの連絡が数件入っていた。今日の晩飯は寮母のおばさんが作ったカツカレーだとか、漫画の新刊買ったから読みたい奴は順番待ちだとか、どうでも良いような内容につい頬が緩む。 ……冬休みは、まだ怖くて行けなかったけど、春休みには両親と兄の眠る墓に行ってみようと思う。ちゃんと、それまでに向き合って笑えるようにならないとな。】 (01/23-22:26:51)
◆不良青年>【兄ちゃんが今までどんな思いで俺を育ててくれたのか、大切に思っていてくれたのか、やっとわかったのに。わかり合えたのに。俺達は、やり方を間違えた。ズルなんてせずに、神様なんて、得体の知れないものに頼らずに、もっと、もっと、話をすればよかった。後悔は尽きない。 ――僅かに湯気を上げる缶コーヒーの温かさに、また少し目の前が滲むから、強く目を閉じてやり過ごした。】 ……ふっ、くぅ…っ 【鼻を啜って、涙を無理矢理引っ込めて、俺は飲みかけの缶を歩道の脇にある植込みの傍に置いた。】 …飲みかけでゴメン。 【そうして、手を合わせ、拝む】 遅くなって、ゴメン……。 【兄ちゃんが無事、成仏できるように。】 (01/23-22:13:39)
【PBC Affinity】